斜陽

いつも首を真横に傾げている人がいた。
気になってしょうがなかったので、何故そうしているのか聞いてみた。


その人は昔、転ばないように地面ばかり見ていたらしい。
でも、それだと自分の頭上に広がる大空を見ることが出来なくて、小さな世界に閉じこもっているみたいに感じたそうだ。
それから、両方を得るために、首をかしげているそうだ。


代わりに、右左の視界が狭くなっているのだけれど。


僕はそれを聞いて、その人がやっているのと同じコトを試してみたんだ。
90度回転した世界は、なんだか奇妙だった。
自分の礎とすべきところと、向かうべきところが同時に見えて。


自分の足場は、そんな毎度毎度確認すべきものではないのだろう。
それを信じ、前にすすんでいくこと、目の前の世界の広がりを感じることが、僕は好きなんだ。


つ「フィクション注意報」